五反田のウェブ&グラフィックデザインスタジオ:コスミックエンジンの社長ブログ

カテゴリー:書評

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【書評】ビジネスの新常識 ネット広告のすべて

writer meijin writer 2010年05月11日 12:10

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ビジネスの新常識 ネット広告のすべて (単行本)
紅瀬 雄太 (著), 足代 訓史 (著)

近所のブックオフで何気に購入したので、2006年刊の少々古い本だけど、数値データ以外はさほど業界に変わりがないと思う。
本当に概要だけ淡々と書かれた無味な本だけど、平易な表現でさらっと読めて、デザイナーが読むのには良いだろう。

戦略立案するためには、もう少し突っ込んだマーケ的な視点が欲しいところだけども、「なんとなく知ってる」レベルの知識を体系として確認するのには役立つし、なにより「平易な表現」というのは参考になる。

僕らはプロシューマと話をすることが多いので、勢い言葉が専門用語に偏りがちだし、その語も意外と用法を間違っていたりするので、多くの人に話をするという立場の人は、平易な表現や本来的な意味、用法を確認するというのは重要だと思う。
そういうきっかけとして、こういう教科書的な本というのをたまに選ぶのも良いと思う。

僕がこの本を読んだのは、デザインの制作、とりわけウェブ制作の世界では、広告戦略を織り込んだ企画立案が重要になると考えているから。
そういう意味では本書は物足りないところは多々あるが、概要のおさらいとしては十分役に立ったと思う。
次は、もう少し実践的な内容の本を探そう。

この程度の本はデザイナーに読ませておきたいところだが・・・せめて若手には強制的に読ませておこうか。

【書評】クラウドコンピューティングの幻想

writer meijin writer 2010年05月18日 11:45

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クラウドコンピューティングの幻想-エリック・松永/dp/4774138045
出版社: 技術評論社 (2009/3/19)
発売日: 2009/3/19

これも先日ブックオフでまとめ買いした本。
些末なところから言うと、まず変換ミス、誤字、日本語としておかしな文章・・・というところから始まり、本の大半がコンサルタントの愚痴という内容。
はっきり言って、ブログレベルですね。

で、良いところが無いかというと、そんなことはなくて。
漠としているクラウドコンピューティングの概念を知ることだけでなく、業界の構造から今何が起きているか、文体は愚痴っぽいがどんな問題があるかまで解説されているので、それなりに参考にはなるでしょう。

まぁ、結構くどくどと同種のことを言っていたりもするので、半分くらいのページ数にしてもらった方が読みやすいかも。
それに、業界の専門用語(略語)の解説が所々されていないので、いちいち調べながら読むのが面倒なところもありますね。

著者はコンサルタントという立場と、基幹系システムの見地から語っているのですが、著者の愚痴には共感できるところも多数。

共感できるのは、バズワードとそれをもてはやす企業文化に関して警告している点。これは裏を返すとコンピュータシステムに対する経営陣の無知、無関心を示すものだと思います。
経営陣は、システムを導入すれば業績が上がる魔法の杖と思っているし、導入はシステム部に任せきりで経営とも営業とも繋がっていないブラックボックス・・という批評はそのとおりだと感じます。

私のフィールドは基幹系ではないけれども、ウェブでも同じ事が起きています。
電気屋で「インターネット売ってくれ」というオッチャンと一緒で、彼らは「バズワード」を買っているに過ぎない。自分たちの経営の中でどのように役立てるか、役立つのかという具体性も知識もないままに、心地よい流行り言葉の魔力に踊らされているだけです。
上役になるほどコンピュータやインターネットに無関心というのは、ビジネスチャンスを大きく逸していることに他ならないのではないでしょうか。

最近多いのがツイッターに関する一時的な興味と、導入に踏み切れない不理解ですが・・・これはいずれ改めて書きたいと思います。

話をもどすと、結局それは経営とシステム、そして現場が垂直に統合されていないという日本企業の(コンピュータシステムの)問題点を浮き彫りにするもの・・・いや、システムだけじゃなく、マーケティングやブランディングも垂直統合されていない、つまり、システムもマーケもブランディングも、日本企業の経営陣にとっては全てが耳触りの良い「流行り言葉」でしかなくて、魔法の杖なんじゃないかと。
バズワードって、本来「耳障り」なものだと思うのだけど、それが心地よいという感度の悪さに全てが集約されている気がします。


いずれにしても、経営に関わる重要なファクターが統合されず、部分最適の集合体でしかないという日本企業の大問題は、実は日本の経済や社会システム全体にも言えることではないでしょうか。
これは全体としては意味をなさないし、様々な局面で行き詰まりを見せるのは当然ということでしょう。

次はP.F.ドラッカー「ネクスト・ソサエティ」を読みます。
先ほど1Pだけ読みましたが、すごく刺激的でおもしろそうです。

【書評】ネクスト・ソサエティ-―-歴史が見たことのない未来がはじまる

writer meijin writer 2010年05月31日 14:09

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ネクスト・ソサエティ-―-歴史が見たことのない未来がはじまる-P・F・ドラッカー
出版社: ダイヤモンド社
発売日: 2002/5/24

恥ずかしながら、この本が私にとって初ドラッカーでした。世の中でたびたび話題となり、様々なところで彼の言が引用されている理由がよく分かりました。

実はまだ読了していないのですが、非常に重要な予測や提言に満ちており、かつ決して難しくはない表現をされているため、読みやすい本です。また、所々インタビュー形式の箇所もあって、様々な角度から著者の捉える問題点を知ることができます。

この本によって自分の認識に何がもたらされたか、ということについては今後改めて整理したいと思いますが、大雑把に言うと、経済や社会が全体としてどういう方向を向いているかという「流れ」がわかり、バラバラに起きているように思える個々の事象も、じつはこの大きな流れの中に必然的に生まれているのだということです。

この大きな流れは、著者の「予言」ではなく、確実にそのようになるもので、その上での各論は予測でしかないという部分もあります。ですから、重要なのは大きな流れを知ることです。その点で本書は非常に役に立ちます。

また、自分に何が足りないのかを知ることもできます。
自分の場合は、金融に関するくだりは知識不足のため十分に理解できず、もう少し勉強してから再読したいと思います。

何にせよ、これから私たちが向かう社会を大きな流れとして捉えることで、何を知り何をしなければならないかということを認識させられる1冊です。

いま世間にある、日本は製造業を捨てサービス業に転換すべきだという意見も、ドラッカーの予見がベースにあるのでしょう(ドラッカーはそのようには明言していませんが)。確かに、潮流としては避けがたいことかもしれませんが、何か抗う手だてを考えてしまうのは自分だけでしょうか。経済よりも先に社会が変わることで、産業構造も変えられるとか・・
特に手作業の部分は、何とか残していきたいものです。

【書評】デザインイノベーション デザイン戦略の次の一手

writer meijin writer 2010年06月07日 11:25

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デザインイノベーション デザイン戦略の次の一手
出版社: 翔泳社 (2010/5/11)
発売日: 2010/5/11

フロッグデザインを興した、ハルトムット・エスリンガー氏の著作。自伝的な作品ではあるけども、氏のデザインに対する考えは今なお新鮮であって、かつ重要な提言を多く含んでいて非常に刺激的、かつ重要な内容となっています。

フロッグデザインといえば、もともとプロダクトデザインを志向して造形大に入った私としては、GKデザインと並んで憧れの存在でした。憧れって言っても、フロッグに入りたいと思ったことは無いのですが・・・そんな大それた事は想像もできなかったですね。

この本を読んで、私自身の仕事に対するモヤモヤした感情が、かなり晴れました。エスリンガー氏のように素晴らしい大きな仕事をしてきたわけではないのですが、デザイナーやクライアント企業に対する氏の要求は、私の考えと同じものだったからです。

つい先日の社内ミーティングで、私は「デザイナーたるもの経済を読め!」と言った事があるのですが、これは株価や経済動向そのものを指しているのではなく、顧客のビジネスを理解することを段階的に認識させていこうと考えた、その第一歩でした。
放っておくと、デザイナーは自分の価値観にアジャストしたものを作って満足しがちです。
かといって、顧客至上だというと、言いなりのものを作れば良いのかという誤解が生じます。

重要なのはプロとしての提案、つまり顧客の抱える「問題」を解決することです。その「問題」は、経営戦略とは切り離せないもので、表面的な美しさだけでは取り払うことができません。デザイナーは、その根源的な部分に切り込んで物事を考えなければなりません。

エスリンガー氏のデザインは、まさにそのような考えを体現したもので、私に大きな勇気を与えてくれました。

さらに、これからのデザインの行方、デザイナーの使命についても考えさせられます。
丁度、先日読了した「ネクスト・ソサエティ|P.Fドラッカー」の予見する今後の社会とリンクする部分があり、では、自分が具体的にすべきことは何か、ということについて大きな気づきを得ることができました。

非常に内容が濃く、刺激的で、かつ読みやすい本です。
デザイナー必読の一冊です。

【書評】ツイッターノミクス TwitterNomics

writer meijin writer 2010年06月22日 18:06

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ツイッターノミクス TwitterNomics タラ・ハント 津田 大介(解説) (著), 村井 章子 (翻訳)
出版社: 文藝春秋 (2010/3/11)
発売日: 2010/3/11

世間で話題の”ウッフィー”って、これか。

やっと読みました。ツイッターについての本と言うよりは、ソーシャルメディアによって起こっていること、今後起こりうることを解説してます。
世間では、企業(や商店)がソーシャルメディアを利用すること自体が話題になるという時期が過ぎ、少し落ち着いて来たところです。
ソーシャルメディアの活用事例や、その効果についての検証もされてきました。

本書は、ソーシャルメディア先進国アメリカの事例を多く取り上げて、そこでの失敗体験・成功体験をもとに、企業や個人がソーシャルメディアといか付き合うべきかということを重点的に論じていますが、その背景にあるのはクルートレイン宣言〜Web2.0で起こってきた社会変化です。この変化はウェブのビジネスに大きなインパクトを与えるだけでなく、ウェブを介したさまざまなコミュニケーションに劇的な変革をもたらしました。
この継続的な変化は、Webが起点で起こったというよりは、社会的変化の流れの中で必然的に発生したもののように思われます。
こと、iPhoneをはじめとしたスマートフォンとTwitterの親和性の高さは、別々の場所で生まれたモノが偶然出会ったから、とは思いがたく、ある方向に向かおうとする社会の中で同時多発的に同じ性質のものが生まれてきたからこそ親和性が高いのだ、と私は思います。
丁度19世紀末〜20世紀初頭のモダニズムのころの世界を思わせるような現象です。

重要なのは、ツイッターのようなデータストリームを介して、コミュニケーションが伝播拡散し他人の行動を喚起したり、他人の思考(知識・ノウハウ)を経て戻ってくるということです。
この点が、これまで「身体機能の拡張」であった道具類とは違い、神経(脳細胞)のつながりに似た「脳機能の拡張」をもたらしているように感じます。これにスマートフォンが加わることで、常にネットに「繋がっていられる」状態になると、さらに思考や頭脳がクラウド(仮想)化されているようなイメージになりますね。

こうした知の外部化とネットワーキングによるコミュニケーション構造の変化は、今後さらに大きな社会的潮流となっていくことでしょう。
われわれのように広告をはじめとした企業コミュニケーションを扱う仕事は直撃を受けます。
私は、本書の帯にあるように「広告はもういらない!」とは思いませんし、特に大企業の企業コミュニケーションにソーシャルメディアが入り込んでいくにはそれなりに時間がかかるでしょうが、いわゆるマスマーケティングの位置づけというのは今よりもずっと比重が下がると考えています。

代わりに比重を上げるのは、当然ソーシャルマーケティングです。
これは、本書でも指摘しているとおり、コミュニティの一員となり、One to Oneのコミュニケーションを築かなければ成立しません。生きたネットワークの中に入っていくわけですから、一朝一夕に為しえないことは想像に難くないでしょう。
ネットワークにしっかりと根を張ること、それを継続し知恵を蓄積していくことは、相応に時間と根気が必要な作業です。
ソーシャルマーケティングの広告効果を疑問視する声もありますが、おおよそそれは用法違いのように思います。
本書の例にあるように、相応しい顧客に対して相応しいコミュニケーションを構築していくことが肝要なのだと感じます。
この点は、リアルなコミュニケーションとあまり変わらないのではないでしょうか。
ネットでは、相手の顔は直接見えませんが、コミュニケーションの中から信頼を得ることはできます。この、相手の見えないコミュニケーションに信用を与える「貨幣」がウッフィー。現実の決済手段ではありませんが、信用が創造されるという点では貨幣と同じです。いや、ネットとリアルの間での決済には、実は既にウッフィーが使われているのかもしれません。

【書評】ソーシャルメディアマーケティング

writer meijin writer 2010年06月24日 10:49

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ソーシャルメディアマーケティング  オガワ カズヒロ(小川 浩・小川 和也) (著)
出版社: ソフトバンククリエイティブ (2010/2/1)
発売日: 2010/2/1

先日のツイッターノミクスから立て続けにソーシャルメディア関連の書籍を読みました。
事例集+近未来のお話的であってアメリカ的コミュニティの特性が強く作用していると感じられるツイッターノミクスに比べ、こちらは、日本での実際のプランニング手法にフォーカスが当たっていて、仕事の参考にはしやすいかな。

特にメディアミクスを強く意識しているところが実用的です。
これは現日本での広告事情でもっとも求められるところでありながら、プランニングが出来てクライアントの説得までできる人材が不足しているのが現実です。
本書はクライアントの説得まで視野に入れて書かれているところが非常に良いですね。

広告出稿者や広告代理店はもちろんですが、広告部門以外の方にも是非読んでいただきたい一冊です。仕事の参考にされるのであれば、ツイッターノミクスよりオススメですね。
(上のリンクはアフィリじゃないですよ^^;)

弊社の場合は広告代理店ではないので、4マスを含めた提案というのは基本的にありませんが、メディアミクスを理解した制作というのは中小規模のクライアントであっても重要性を増してくるし、むしろこれによって飛躍的に市場を広げる可能性という意味で、今は中小規模の事業者にとって千載一遇のチャンスですよね。僕らもソーシャルメディアやウェブだけにとどまらず、積極的に「攻めのコミュニケーションプラン」を提案していきたいと思います。

【書評】デザイン思考が世界を変える

writer meijin writer 2010年07月06日 21:27

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デザイン思考が世界を変える—イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice) (単行本) ティム ブラウン (著), Tim Brown (原著), 千葉 敏生 (翻訳)

このところ読書スピードが上がったなぁ、200ページくらいなら1〜2日で読める・・・なんて自己満足していたのですが、この300ページの本は何故か手こずり、1週間かかりました。
夜の読書時間にサッカーが割り込んだりしたせいもあるんですけど、内容的に「デザインイノベーション(ハルトムット・エスリンガー著)」と被るところも多くて若干退屈したのと、文章的にもちょっと読みづらく感じました。
色々と参考になる箇所は多かったので、良い本ではあったと思いますが、どちらか一方を読むならばエスリンガー氏の書の方をお勧めします。

本書は、デザインの手法というよりもコンサルティング的なポジションからイノベーション思考について語られていて、これは著者がITバブル崩壊後にIDEOを立て直した経緯、すなわち組織の再デザインという経験から、デザイン思考のプロセスを様々な場面に適用するコンサルティングとしてのデザインへ踏み込んでいったことに由来するのでしょう。
これは、今の我々には大変参考になる話となるはずです。デザイン業界を支える市場自体が大きく変容し、マス主導のマーケティングが力を失いつつある現在、そこに投下されてきた巨額の資金も失われつつあります。
このことが、デザインの組織に組織の再デザインを求るのであり、組織としてイノベーションを体現できることが求められるのです。デザインの組織にはそれが可能なはずです。
私自身、経営はデザインであると常々考えてきましたし。(うまくデザインできていなかったとしても^^;)

また、こうしたイノベーション思考を組織がもつことで、アイデアのありようや、アイデアの向かう先に一つの共通認識が与えられると思います。
この共通認識の周辺に生まれる様々なナレッジやノウハウが、組織に所属するデザイナーと、その組織にとっての共有資産となります。

この資産をいかにして大きくするか、というのが、組織の目標になりますね。
こうした目線で見ると、そのための考え方のヒントを、この本は沢山与えてくれるようです。
ちょっと読みづらいですけどね。。

【書評】モチベーション入門|問題解決手法の知識

writer meijin writer 2010年07月07日 19:55

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モチベーション入門 (日経文庫) (新書)田尾 雅夫 (著)
問題解決手法の知識 (日経文庫) (新書)高橋 誠 (著)

本来的な使途としては、マネジメントの立場から必然的に読むべき本なのかもしれませんが、別に自分が無気力なわけでも無気力社員に悩まされているわけでもないので、今まであまり触れてこなかった系統の情報ですね。もともとこの手の理論や手法を考えるのは好きなので、苦手と言うことはないのですが、自分の考えで行動すればいいやと思っていたので、自分の興味としては3〜4番目くらいの順位にあるジャンルって感じです。
amazonの欲しい物リストには沢山読みたい本を入れているのだけど、見渡す限りこういう類の本はないなぁ。というくらい。

なので、マネジメント知識の参考として読むつもりはなかったのですが、某プロジェクトの企画をする上で必要性を感じたので読んでみました。
結果的には、会社のマネジメントや企画を立てるのにとても参考になりました。笑

「モチベーション入門」は、様々なモチベーション理論の解説と、長所短所が簡潔にまとめられた本です。実践ベースで書かれた本ではないし、本書にも触れられているとおり理論をそのまま実践に用いても、狙い通りの効果があがるとは思えません。
モチベーション理論は、マーケティングで言えばマスマーケのようなもので、実際に対象となる個々人のバックグラウンドやコミュニケーションについては一般的な人物像を想定して扱われてため、心理学的な考え方としては有りだけど、実学としては疑問が大きい。マスマーケティングのような非常に大きな母集団に対するファネルとは違い、例えば社員とかチームとかを対象にした場合に、個々人の偏りが大きすぎて適用できる場面が限られるからです。
もちろん、そうしたことを前提に書かれた入門書であり、モチベーション理論とはいかなるものか、という全体を把握するのには役立ちます。仕事の合間でもさらっと読める内容です。

「問題解決手法」の方も、企画の参考資料として購入したのですが、自分が様々な解決すべき問題を抱えているので、自分のためという意味合いもありつつ読みました。
こちらは、様々な手法を紹介しつつも、かなり実践的な内容を含んでいます。昨日のブログでは「イノベーション思考」について触れましたが、そのような発展性のある考え方、思考方法を身につけていく上では参考になるのではないでしょうか。
学生の頃に、創造工学(だったかな?)とかの授業でブレーンストーミング(BS)を習って以来、BS以外では理論や体系に基づいた発想法はあまり試してきませんでしたが、色々と発展型が紹介されていて参考になりました。
実際すぐに使いはじめられる方法もありますし、色々試してみることで考える作業が楽しくなってきます。特にチームで考えていく際には良いですね。この本は、なかなかに使えるんじゃないかと思います。これも手軽に読める分量なので、BSくらいしか知らないという方には一読をお勧めしますよ。

【書評】コトラーのマーケティングコンセプト

writer meijin writer 2010年07月27日 20:33

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コトラーのマーケティング・コンセプト フィリップ・コトラー (著), 大川 修二 (翻訳), 恩藏 直人 (著)

随分前に読了していたのですが、しばらく忙しかったので放置してしまいました。
私にとっての初コトラーです。

もう、随分前から名前だけは知っていたので、もっと古いマーケティング理論をイメージしていました。ホントに、何も知らなくてごめんなさいという感じです。僕の知る限り、最新のマーケティングのエッセンスが詰まっていました。

コトラーの他の書はもっと厚い(100ページとか)らしいのですが、これは索引まで入れても250ページ程度で、構成も一つのテーマ毎に区切られていて読みやすいです。

この本を読むと、マーケティングという概念の範疇がわかります。経営で考えるべき領域全てということですね。本書中に「マネジメント」という項目があり、またドラッカーの引用も多いので、マネジメントの考え方とオーバーラップした部分も多いと思います。
読了後少し時間が空いてしまったので、実はどんな内容だったか細かい部分は忘れてしまいましたが、書いてあること自体はスタンダードでありつつ、沢山の気づきをもたらせてくれるという印象です。ビジネスのヒントが沢山詰まった本ですね。

この本の内容も、時間を見てまとめて行きたいと思っています。

【書評】 金融入門

writer meijin writer 2010年07月30日 21:21

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金融入門 (岩波新書) [新書]
岩田 規久男 (著)

出版社: 岩波書店; 新版版 (1993)
発売日: 1993/09

しばらく前に読了していたのに、なんで書いてなかったかな。。少し触れたような気もするけど。
上のリンクは、1999年に出版された改訂版です。僕の読んだのは初版かな?ブックオフで買った、相当古いものです。でも、基本的な内容に不足はないように思いました。
最近の金融事情は別の書籍でカバーすることにすれば、今でも十分役立ちます

経営をしていると、普通の人よりも金融に触れる機会は当然増えるのですが、あまり突っ込んで勉強したことはなかったので、この本は相当勉強になりました。
話題は当然古いのですが、銀行の機能や預金創造、各種金利や利回りについてなど、なんとなく知ってたことがスッキリとわかります。図もありますが、文章だけでもかなりわかりやすいと思います。

実はこのあと、別の金融関連の書籍を読んだのですが、この「金融入門」のおかげでかなりすんなり読めましたし、とても興味が深まりました。ベーシックで大事ですね。

この本を読んで印象深いのは、かなり冒頭部分なのですが、預金創造についての解説です。今までも、通帳への印字や電子決済などで数字が移動するだけというお金のやりとりに、ある種の不思議さは感じていましたが、「そういうことか!」と気づくと、色んな事が腑に落ちるのです。金融に縁遠い人でも、このパート読むだけでも価値があります。

最近読んだ中でも、かなりお気に入りの一冊です。

【書評】金融史が分かれば世界がわかる

writer meijin writer 2010年08月10日 22:51

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金融史がわかれば世界がわかる—「金融力」とは何か (ちくま新書) 倉都 康行 (著)
新書: 238ページ
出版社: 筑摩書房 (2005/01)
発売日: 2005/01

これは、かなり楽しく読めましたね。先に「金融入門」読んでおいたのもありますが、国際金融からデリバティブまでの知識が、基軸通貨の変遷や歴史という時間軸の切り口で語られていて、とても理解しやすかったです。
教科書的な本ではなくて読み物といった感じで、眠くなることもなく(笑)、かつ金融も金融史も分かってしまうという超お得な一冊。

ブックオフで買ったので、さらにお得。

しかし、この本読んで分かるのは、現代の円のふがいなさですかねぇ。。
完全に国際金融の舞台では影が薄くなっているようです。今は買われてますけどね、相対的に。

世界金融に対する視野は、今後の社会を生き抜く上ではある程度必要になってくると思うので、まずは入門書として良いのではないでしょうか。

【書評】新・資本論 僕はお金の正体がわかった

writer meijin writer 2010年08月12日 21:26

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新・資本論 僕はお金の正体がわかった (宝島社新書) [新書]
堀江 貴文 (著)

新書: 173ページ
出版社: 宝島社 (2009/7/10)
発売日: 2009/7/10

この本読む前に得た金融の知識とか、ソーシャルメディアで起きていることとかを考え合わせると、堀江氏の言っていることは理解できます。

もともと、堀江氏の合理的な思考は好きな方で、尊敬する経営者ではないけれども、経営者としても好きではあります。
ブログとかツイッターとかも面白いので、超ソーシャルフィルタリングに続いて2冊目でこの本を買いました。ブックオフで350円。内容からすれば、これでもちょっと高いかも。
堀江氏の解説の箇所はともかく、対談のところがどうもしっくりこない感じです。

内容的には、「お金=信用」ということを言っていて、これは最近金融の本読んだり、商売の事考えていたら同じ様な結論に達したところだったので、合点がいく話でした。
以前紹介した「ツイッターノミクス」に出てくるウッフィーの概念とも近いです。

amazonでレビューをみると辛口コメントが多いですが、内容そのものを曲解したコメントも多いので、それはちょっと違うのでは?というものも。どちらかというと、本の編集方針やら商品としての価値としての批評には頷けるものありました。
正直ページ数の割には内容が薄く、もっと薄くして安くしても良いんじゃないかと思うものでした。本としての完成度は低いですね。

【書評】日本社会と法

writer meijin writer 2010年08月17日 21:07

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日本社会と法 (岩波新書) [新書]
渡辺 洋三 (編集), 広渡 清吾 (編集), 甲斐 道太郎 (編集), 小森田 秋夫 (編集)

新書: 226ページ
出版社: 岩波書店 (1994/05)
発売日: 1994/05

この本を読もうと思ったのは、アゴラでの「光の道」論争が切っ掛けだったかな。国のグラウンドデザインみたいな話があって、そういえばそういう視点で考えたこと無いな、立法や行政のことあんまり知らないな、と思って。
もともと、僕自身が企業文化に対して懐疑的ということもあって、この本で言う「日本の企業社会」への問題意識や、それ関連する法制(立法)、行政の話は凄く参考になりました。
経済、金融や流通の効率と、生活、幸福を同時に考えることが国のグラウンドデザインに求められることでしょう。ちょうど今、マイケル・サンデルの「これからの『正義』の話をしよう」を読んでいるところですが、行き過ぎた経済の反省から、こうした政治哲学への注目というのが今起きているような気がします。

「日本社会と法」では、どちらかというとこれまでの国のありかたを批判する目線で、立法や行政、司法について語られています。経済的な発展、効率追求がが必ずしも悪だとは思いませんが、ある意味国民を欺くような法整備がなされ、国民生活や環境面において負の遺産を生んでいることは事実のように感じられます。

国のあり方として数々の問題が厳としてあるにもかかわらず、政治や行政の内容というのは見えづらく、またメディアも消費者の興味ばかりを追うが故に、国民の意識がそうした根本的な問題へ向かうことを阻害しているようです。

本書は、学校教育、不法就労、移民問題、女性問題に対し、学校教育やメディアとは違う視点と視野を与え、また読者に自ら考えることを課しています。まさに政治哲学ともリンクしているのですが、国際化が急速に拡大進行していく中で、日本がどのように国際的な立場をつくっていくかも含め、全体的な視野のなかで国や社会、生活を考える契機をもたらす、温度のある教科書です。ブックオフで見つければ100円で買えますので、一読をお勧めします。

【書評】FREE <無料からお金を生み出す新戦略>

writer meijin writer 2010年10月26日 20:18

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FREE <無料からお金を生み出す新戦略>
クリス・アンダーソン(著), 小林弘人 (監修), 高橋則明 (翻訳)
出版社: 日本放送出版協会 (2009/11/21)
発売日: 2009/11/21

このところの忙しさで、すっかり読書ペースが落ちていました。
350ページくらいの本ですが、1ヶ月ほどでようやく読了。

おおよそどんなレベルの読者が読んでも理解できる平易な表現で、とても分かりやすいと思います。唯一、「限界費用」という用語だけは少々経済学的なのでわかりづらいかもしれませんが、正確に意味がわからなくても、何となくは理解できるでしょう。

「無料」をうたったマーケティング戦略の歴史から、「無料」がもたらす心理的効果、知財の問題、「限界費用」の点からみたデジタルの経済、デジタルの世界で「無料」ビジネスがどのように成立しているかなど、マーケターはもちろん、現代を生きる経営者には必読の本でしょう。

「無料経済」が現在のビジネスに与えるインパクトは、もちろん小さくはないのですが、無料になりゆくもの、無料に駆逐されゆくものと、そうでないものを見極めれば、冷静に状況を判断することが出来るのではないでしょうか。

それがこの本では、「潤沢さ」と「稀少さ」というかたちで彫り出されています。

インターネットのインパクトは、従来稀少であったものを潤沢にしてしまったことです。このことによって、いくつかのビジネスモデルは根幹を揺さぶられていますが、ひとたび商品(コンテンツ)に眼を向ければ、その価値が落ちてしまったというわけではないことに気づきます。単に、ビジネスモデルが成立しなくなっているだけだということです。

フリーのビジネスモデルは、旧来のマーケティング手法的なもの(結果的になんらなかのかたちでお金を払うことになる)から大きく変貌しました。利益のとれなくなった既存ビジネスモデルがどのように無料経済的なビジネスモデルに置き換わっていくかは、まだ模索段階でしょう。

ただ、現在何が起こっているのかを知り、これから何を大切にすべきかを知るという、この混沌とした時代を生き抜いていく上で重要なことのヒントを、この本は与えてくれます。また、知財のあり方を考える上でも重要な気づきとなるでしょう。

【書評】地球環境報告〈2〉

writer meijin writer 2010年11月18日 00:17

地球環境報告〈2〉
石 弘之 (著)
出版社: 岩波書店 (1998/12)
発売日: 1998/12

スマートグリッドへの興味からはじまって、環境経済学を経由し、地球環境問題にたどり着きました。
地球の環境破壊が深刻化していることは、断片的な情報として少しは知っていたようにも思うけど、一冊の本として読むとなかなかインパクトがあります。

水資源、森林資源、温暖化の進行によって失われるもの・・さまざまな危機が、この本では報告されています。
ただ、惨状が生々しく描かれているのですが、文章がとても素敵なのでグイグイ読み進めることができます。良書と思います。

ふと自分自身の現状に立ち返ってみれば、会社の経営なんかして、日頃は目先の経済ばかりを気にしているけども、資源枯渇が石油やレアメタルだけじゃないってことを再認識しました。

事業は事業という割り切りが必要な場面もあるでしょうが、この本を読むと到底そんなことを手放しに言ってはいけない気がヒシヒシとしてきます。
日本は平和、経済的にも豊かで、環境の危機を身近に感じることがないけれども、これからグローバルに危機的状況が広がっていく状況には注意を払う必要があります。

将来の世代に何を残していけるのか、また、事業の中で環境に貢献できることがあるのか、真剣に考えさせられる一冊です。

【書評】武器なき“環境”戦争

writer meijin writer 2010年11月18日 22:34

武器なき“環境”戦争
池上 彰 (著), 手嶋 龍一 (著)
出版社: 角川SSコミュニケーションズ (2010/9/10)
発売日: 2010/9/10

CO2排出権取引をめぐる国際的な枠組み、政治的な思惑、そしてメディアリテラシーについて、NHK出身の両氏が「わかりやすく」+「鋭く」解説していて、なかなか面白く読めました。
特に「インテリジェンス」については、金融での覇権を失ったイギリスが、カーボン通貨で再び覇権を狙っている・・・など、新たな視点が提供されていて、とても参考になりましたね。
ここでいう「インテリジェンス」は、手島氏曰く

国家の指導者や巨大企業の経営者が、組織の舵取りをするために役立つ情報

のこと。諜報的な情報も含めていると考えて良いと思います。
この、インテリジェンス能力に最も長けた国がイギリスなんだとか。
MI6の世界ですね。なんだ妙に合点がいってしまいます。

後半のニュース解説の美学については、軽く読み飛ばしましたが。。。

グリーンニューディールやカーボン通貨は、たしかイギリスが研究の中心地だったはず。現ユーロ圏は元東ヨーロッパ(共産圏だった国)を中心に環境問題が深刻で、環境への取り組みとしては先進的で主導的な立場であるという認識はあったのですが、「インテリジェンス」をもって環境をネタに世界の覇権を握ろうとしているというのは、とても興味深い考え方です。

京都議定書で無用な宿題を背負わされたり、かなり無茶に思えるCO2削減目標を公言してしまった前総理など、国際的な交渉では「?」な日本ではありますが、環境技術としては世界No.1と言って良いと思うし、太陽光発電や充電池など次世代電力インフラを支える重要な技術でもリードしていると思えます。

国のインテリジェンス能力では負けても、環境技術では世界で戦える実力があると思うと、ちょっと未来も明るく思えますね。

【書評】入門 環境経済学—環境問題解決へのアプローチ

writer meijin writer 2010年11月19日 21:02

入門 環境経済学—環境問題解決へのアプローチ
日引 聡 (著), 有村 俊秀 (著)

出版社: 中央公論新社 (2002/07)
発売日: 2002/07

CO2による温暖化問題はもちろん、NOx、SOxのような有害物質、ゴミとゴミ処理場不足、交通渋滞が引き起こす環境的・経済的損失など、環境と社会の問題を経済学的に解決しようというアプローチが非常に面白い。

前半は経済学的な話が多いので若干読みづらいのですが、細かな部分は読み飛ばして概念だけ理解すれば良いのではないでしょうか。

市場の外部でおこる費用(外部費用・外部不経済)という認識と対策を基礎から考えていくことで、環境税や排出権取引のもたらすメリットが非常によくわかるし、もっと身近な問題・・・例えば残業がもたらすデメリットなどの説明にも応用できるように思える。外部不経済を市場に組み込んだ上で、社会的便益を最大化するという考えをさまざまに応用すれば、結構目からウロコの発想が生まれるんじゃないか、そんか気がします。

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