【書評】FREE <無料からお金を生み出す新戦略>

FREE <無料からお金を生み出す新戦略>
クリス・アンダーソン(著), 小林弘人 (監修), 高橋則明 (翻訳)
出版社: 日本放送出版協会 (2009/11/21)
発売日: 2009/11/21
このところの忙しさで、すっかり読書ペースが落ちていました。
350ページくらいの本ですが、1ヶ月ほどでようやく読了。
おおよそどんなレベルの読者が読んでも理解できる平易な表現で、とても分かりやすいと思います。唯一、「限界費用」という用語だけは少々経済学的なのでわかりづらいかもしれませんが、正確に意味がわからなくても、何となくは理解できるでしょう。
「無料」をうたったマーケティング戦略の歴史から、「無料」がもたらす心理的効果、知財の問題、「限界費用」の点からみたデジタルの経済、デジタルの世界で「無料」ビジネスがどのように成立しているかなど、マーケターはもちろん、現代を生きる経営者には必読の本でしょう。
「無料経済」が現在のビジネスに与えるインパクトは、もちろん小さくはないのですが、無料になりゆくもの、無料に駆逐されゆくものと、そうでないものを見極めれば、冷静に状況を判断することが出来るのではないでしょうか。
それがこの本では、「潤沢さ」と「稀少さ」というかたちで彫り出されています。
インターネットのインパクトは、従来稀少であったものを潤沢にしてしまったことです。このことによって、いくつかのビジネスモデルは根幹を揺さぶられていますが、ひとたび商品(コンテンツ)に眼を向ければ、その価値が落ちてしまったというわけではないことに気づきます。単に、ビジネスモデルが成立しなくなっているだけだということです。
フリーのビジネスモデルは、旧来のマーケティング手法的なもの(結果的になんらなかのかたちでお金を払うことになる)から大きく変貌しました。利益のとれなくなった既存ビジネスモデルがどのように無料経済的なビジネスモデルに置き換わっていくかは、まだ模索段階でしょう。
ただ、現在何が起こっているのかを知り、これから何を大切にすべきかを知るという、この混沌とした時代を生き抜いていく上で重要なことのヒントを、この本は与えてくれます。また、知財のあり方を考える上でも重要な気づきとなるでしょう。

