【書評】クラウドコンピューティングの幻想

クラウドコンピューティングの幻想-エリック・松永/dp/4774138045
出版社: 技術評論社 (2009/3/19)
発売日: 2009/3/19
これも先日ブックオフでまとめ買いした本。
些末なところから言うと、まず変換ミス、誤字、日本語としておかしな文章・・・というところから始まり、本の大半がコンサルタントの愚痴という内容。
はっきり言って、ブログレベルですね。
で、良いところが無いかというと、そんなことはなくて。
漠としているクラウドコンピューティングの概念を知ることだけでなく、業界の構造から今何が起きているか、文体は愚痴っぽいがどんな問題があるかまで解説されているので、それなりに参考にはなるでしょう。
まぁ、結構くどくどと同種のことを言っていたりもするので、半分くらいのページ数にしてもらった方が読みやすいかも。
それに、業界の専門用語(略語)の解説が所々されていないので、いちいち調べながら読むのが面倒なところもありますね。
著者はコンサルタントという立場と、基幹系システムの見地から語っているのですが、著者の愚痴には共感できるところも多数。
共感できるのは、バズワードとそれをもてはやす企業文化に関して警告している点。これは裏を返すとコンピュータシステムに対する経営陣の無知、無関心を示すものだと思います。
経営陣は、システムを導入すれば業績が上がる魔法の杖と思っているし、導入はシステム部に任せきりで経営とも営業とも繋がっていないブラックボックス・・という批評はそのとおりだと感じます。
私のフィールドは基幹系ではないけれども、ウェブでも同じ事が起きています。
電気屋で「インターネット売ってくれ」というオッチャンと一緒で、彼らは「バズワード」を買っているに過ぎない。自分たちの経営の中でどのように役立てるか、役立つのかという具体性も知識もないままに、心地よい流行り言葉の魔力に踊らされているだけです。
上役になるほどコンピュータやインターネットに無関心というのは、ビジネスチャンスを大きく逸していることに他ならないのではないでしょうか。
最近多いのがツイッターに関する一時的な興味と、導入に踏み切れない不理解ですが・・・これはいずれ改めて書きたいと思います。
話をもどすと、結局それは経営とシステム、そして現場が垂直に統合されていないという日本企業の(コンピュータシステムの)問題点を浮き彫りにするもの・・・いや、システムだけじゃなく、マーケティングやブランディングも垂直統合されていない、つまり、システムもマーケもブランディングも、日本企業の経営陣にとっては全てが耳触りの良い「流行り言葉」でしかなくて、魔法の杖なんじゃないかと。
バズワードって、本来「耳障り」なものだと思うのだけど、それが心地よいという感度の悪さに全てが集約されている気がします。
いずれにしても、経営に関わる重要なファクターが統合されず、部分最適の集合体でしかないという日本企業の大問題は、実は日本の経済や社会システム全体にも言えることではないでしょうか。
これは全体としては意味をなさないし、様々な局面で行き詰まりを見せるのは当然ということでしょう。
次はP.F.ドラッカー「ネクスト・ソサエティ」を読みます。
先ほど1Pだけ読みましたが、すごく刺激的でおもしろそうです。

