クリエイティブのビジネスモデルを考える
我々のような制作会社は、作ってナンボ、手を動かしてナンボという商売である。
だが、おおよそのクライアントは、最終的に支払われるのは「納品物」に対する価格であって、労働の対価としては考えていない。そして、アイデアはタダというのが基本線である。
〜予算がないので、低予算ですむ素晴らしいアイデアをお願いします。
そりゃ、ギャグですよね〜・・・っと、まぁあんまり本気で受け取ってはいないが。。。
言ってる方は意外と本気だから怖い。
そのアイデアを、知恵を絞るのも我々の労働である。
その上、納品物として取れる金額が少ないというのだから、まったく無茶な話である。
なぜこういう事がおきてしまうのか、を考えるとき、僕が常々思う出すのは、今の日本のアニメ業界の惨状である。
原因は、テレビ局やスポンサーにビジネスの主導権があって、セル画描きたちは受け身の立場で言われるままに価格を下げていったからだ。
セル描きはビジネスマンではない。
労働の対価を主張するというのは、それはそれで別スキルだ。
セル描き職人は好きなことをやれればそれで良い・・・
という考えがあったから、言われるままになってしまったと聞いている。
デザイン業界がただちにそのようになと思っているわけではないが、
制作というのは最下流で弱い立場だ。それに、参入障壁の低い業態というのも作用して、競争が激しい。
だから上流の勝手を受け入れなければ、仕事がなくなるという危惧もある。
これは、まったくセル描き職人たちに訪れた悲劇と同じ環境ではないか。
だいいち、日本のデザイン業界はデザイン業として成立しているのではなく、印刷や広告のビジネスモデルの上に乗っかっているのがメインストリームだ。
印刷会社であれば、印刷機を回すことが儲け。
広告代理店であれば、媒体費を取ることが儲け。
つまり、これらの収益装置を稼働させるための付加価値・・・
抱き合わせ商品が「クリエイティブ」で「デザイン」だ。
収益装置を売るための付加価値だから、顧客に対しての魅力付けは重要だが、彼らの場合それ自体の収益は二の次だ。というよりも、コストでしかない。デザイン・制作力が売り物である僕らとは立場が違う。
本来のクリエイティブビジネスは、そうではなかったはずだが・・・今やそのビジネスモデルがスタンダードになってしまった。
このことを、ほとんどのデザイン制作の会社は理解していないんじゃないだろうか。印刷、広告業界に落ちる資金におんぶにだっこの業界だから無理もない。「立場が違う」と表明したところで、「だから?」と言われておしまいである。
そういうわけで、「アイデアはタダ」というのは、全くもって彼らのご都合であったのだが、今はそのことによって彼らの首が絞まっている。収益装置が壊れてしまえば、付加価値もへったくれもない。クリエイティブを価値化するにも、それを彼らはタダ同然でたたき売りにしてきたのだ。今さら変えようとしたって変わるはずがない。
現状、彼らの首が絞まると僕らの首も絞まるのだが・・・笑
だが、一蓮托生は御免である。彼らのビジネスを否定するつもりは毛頭ないし、良い関係を築いていきたいと思うが、一方的な依存はいかんということだ。
僕らは自分たちの脚で立ち上がらなければならない。僕らが自立してこそ、相互依存の良い関係が生まれるのだろうし、そういう時期に来ていると思う。
それが出来なければ、アニメ業界の二の舞だ。

